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楯野川がもっとわかる虎の巻

第五巻は酒造り その1「精米と仕込み水、原料処理」についてご紹介いたします。

第五巻 酒造り その1「精米と仕込み水、原料処理」

酒造りのこだわり

酒米へのこだわり

日本酒は日本食文化の根本である米と水が原料です。目に見えない微生物(酵母、麹菌、乳酸菌)の働きを利用して、日本酒は醸されます。日本酒「楯野川」の製造工程は右の図のような流れになります。この虎の巻では、他の蔵元とは違う点やユニークな点、こだわっている点について、以下の4回に分けてご紹介します。

伝統的な日本酒造りを行っておりますので、各製造工程に関しては、虎の巻では、詳細な説明を割愛します。市販で販売されている日本酒に関する書籍などを参照ください。

精米について

精米について

醸造用玄米の外側部分には、ビタミンやタンパク質、脂質が多く含まれ、これらは雑味のもととなります。精米をすることで、不必要な部分を削り取ります。日本酒「楯野川」は全量純米大吟醸の製造なので、精米機で50%以下まで精米します。なお、26BYの平均精米歩合は47.7%でした。20俵(1200㎏)の玄米を50%まで精米するのに30~36時間程度、18%精米するのに約70時間程度かかります。副産物として出てくる糠(ぬか)は外部に販売し、米油やせんべいの原料になっております。

仕込み水について

仕込み水について

日本酒の醸造に使われる水は有害成分が少ないことが重要です。日本酒の成分の約80%は水であり、水質が日本酒の味わいに大きな影響を与えます。名水あるところに銘酒ありとも言われています。
庄内地方は山々に囲まれており、地表に降り注いだ雨や雪が地中深く染み込み、長い年月をかけて幾層の地層が自然のフィルターとなってろ過されます。そのようにできた綺麗な水を、日本酒「楯野川」には使用しております。酒造用水は総米重量の約50倍も必要と言われ、日本酒の大部分が水であることから、大自然の恩恵で日本酒は造られていると言っても過言ではありません。

原料処理について

原料処理で特にこだわっている点について、蔵人にインタビューを行いました。

Q1: 洗米、浸漬で工夫していることは何ですか?

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A1: 洗米は白米に付着している糠を洗い流す工程です。機械を駆使する事で、ブレが少ない安定した洗米となります。

浸漬は白米に水を吸わせる工程です。吸水が適正でないと、以後の工程操作の難易度が高くなってしまいます。そのため、水温や気温、湿度、時間、そして結果をデータ化しています。これらのデータを参考にして、何分浸漬するか、判断しています。

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また、機械やデータに頼り過ぎず、自分の目で見極める力をつける事も重要です。特に、新商品は過去のデータが無いため、米の吸水具合を実際に目でじっくり観察し、判断していきます。目標吸水率から1%ずれるだけで後の工程に多大な影響があります。やり直しが全くきかない工程なので、一発勝負という気構えで取り組んでいます。

Q2: 蒸しで工夫していることは何ですか?

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A2: 白米を和釜と甑(こしき)で蒸します。 蔵中に湯気が行き渡り、幻想的な世界になります。蒸しのこだわりは、以下の通りです。

  • 水の量を一定にすること →今までの経験から、この水位が良いと判断し徹底
  • 蒸気が抜けた55分後が蒸し上がり →今までの経験から、この時間が良いと判断し徹底
  • 疑似米を敷いた上に米を張ること →蒸気を直接米に当てない(ベタついた蒸米を防止)
  • 26BYより釜にスーパーヒーター導入 →導入により蒸気が早く乾燥(ベタついた蒸米が減少)

Q3: 冷却で工夫していることは何ですか?

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A3: 良い酒造りを表すのに、一麹、二酛(酒母)、三造り(醪)という言葉があります。麹や酒母の出来がとても重要なので、酒母の掛米と麹米は手作業で、米をつぶさないよう注意しながら米を平たく均一化しながら、全て自然放冷します。醪仕込み用の掛米(添・仲・留)には放冷機を使用しています。