楯野川がもっとわかる虎の巻
第八巻は酒造り その4「上槽、ろ過、火入れ、瓶詰、貯蔵」についてご紹介いたします。前巻・前々巻同様、今巻も専門用語が多くなっておりますが、市販で販売されている日本酒に関する書籍などを参照いただくと、より理解が高まります。
第八巻 酒造り その4「上槽、ろ過、火入れ、瓶詰、貯蔵」
上槽、ろ過について
発酵の終わった醪(もろみ)を固形分と液体分に分離することを上槽(じょうそう)と言い、醪は自動圧搾機(ヤブタ式)で生原酒と酒粕に分けられます。自動圧搾機はアコーディオンのような形をしており、布をかぶせた板が何重にも連なっており、その中に醪を入れて、空気を入れて圧力をかけていくと、槽口(ふなくち)から液体が出てきます。日本酒は搾った時に、大きく分けて3つの部分に分けられます。
- 荒走り(あらばしり):搾りの最初の部分
- 中取り(なかどり):搾りの途中の部分
- 攻め:搾りの最後の部分
火入れ、瓶詰、貯蔵について
ろ過を終えると、火入れ(低温加熱殺菌)を行います。火入れすることで、麹由来の酵素の働きを止め、酵母や火落ち菌などの殺菌を行います。火落ち菌は悪性の乳酸菌の一種であり、日本酒を白濁させ、香味に異常を起こす可能性があるので殺菌します。楯の川酒造では、火入れにプレート式熱交換機を使用しております。短時間で日本酒を65℃まで急熱し、瞬時に20℃まで急冷することで、味や香りへのダメージを極力少なくできるというメリットがあります。 火入れ、急冷後は衛生面を考慮し、自動充てん機で瓶詰を行います。瓶で貯蔵することにより、より厳格に低温で管理熟成し、味わいも落ち着き、丸みのある味わいになります。