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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

楯野川ブランド立上げ その2(楯野川新聞 2013年2月13日号より)

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先月に引続き「 楯野川」ブランド立ち上げ時の状況をもう少し詳しくお伝えします。元々、弊社の日本酒銘柄は、会社名と同じ「 楯の川」でした。

最盛期は、普通酒を中心に三千石ほど製造していたようですが、私が蔵に戻る前にこれからは品質での勝負になるという先代の考えから、レギュラー酒を止め、本醸造・純米・純米吟醸・大吟醸といった特定名称酒に全て切り替えていました。原料米は、山形県内の美山錦や一般米を中心に使い、酵母も協会9号というオーソドックスなお酒でした。恐らくですが、当時は新潟の淡麗辛口酒が人気で、全国的にもすっきりとした辛口が好まれていたため、弊社でもそのようなお酒を造っていたのだと思います。販売先といえば、地元の問屋さんや小売店さん、あとは北海道の大きな問屋さんがメインでした。

今ではもうすっかり定番となっておりますが、農大を卒業してから蔵に戻り、自分の代で新しい銘柄を造って真価を世に問うという流れがありました。私もお酒好きの方々から旨い地酒として認知してもらえるような新しいブランドを何とか出したいと思って、銘柄名をどうするか頭を悩ませた記憶があります。

今までの「 楯の川」とは、全く違う銘柄名にしようかとも思ったのですが、中々これといったものが思い浮かばず、昔の資料を何気なく見ていたときに、創業当時の銘柄名が「 楯野川」だったことをはじめて知り、こっちの方がいいなと直観的に思ったことがきっかけで、新しいブランドとして銘柄名を「 楯野川」 にいたしました。

県外出荷がほとんどなかった蔵なので、昔の銘柄を誰も知りませんし、創業当時の初代のチャレンジ精神を引継ぎ、その思いを大事にしていくという信念のもと、書体も一新して新ブランド「 楯野川」で勝負して行こうと決意した1年目でした。

※写真は楯の川酒造 初代当主 平四郎です。

六代目蔵元 佐藤淳平