母が一口飲んで「おいしい!」と笑顔になったお酒。
それが「楯野川」でした。「利き酒選手権」というイベントでもらってきたようです。そんな母を見て私も一口。するとあまりの飲みやすさに感動してしまいました。日本酒があまり好きではなかった私も、これがきっかけで興味をもつようになったのです。
私の前職は土木現場の施工管理です。東日本大震災の被災地で復興に取り組んでいました。3年ほどたって酒田に帰ろうと決心。
せっかくなら地元に貢献したいという気持ちが心の中にありました。
そこで知ったのが楯の川酒造です。それまで地元にそんな会社があるとは知らなかったけれど、母がおいしそうに飲んでいたお酒を造っている会社だと知って親しみを覚えました。もともとものづくりが好きだったこともあり、お酒造りも面白そうだと考え、応募することを決心。もちろん酒造りの知識も経験もなかったので、どんなことをするのだろうという不安はありました。けれどそれは思い過ごしだったと、入社後に知りました。
入社後は先輩に酒造りのイロハから教わりました。酒造りは麹を作るところからスタートします。どんな仕事でもそうだと思うのですが、酒造りの工程の一つひとつにすべて意味があります。先輩はそれについて「なぜこの作業が必要なのか」を丁寧に教えてくれました。
酵母を培養する「もと」という工程で温度管理のミスをしたときは、上司がストップをかけて指導してくれました。理由がわかるから納得して仕事に取り組めて、自分のものにできます。酒造りはベテランの職人から「見て盗め」と言われながら育つしかない古い世界だと思っていました。そんな想像とはまったく違っていたのは驚きであり、嬉しい想定外でした。
そうした環境で仕事を教わったおかげで自分でも驚くほど成長のスピードは速く、3年目でほとんどの作業を経験できました。来期にはいよいよ「もろみ」の仕込みを担当する予定です。「もろみ」の良しあしは、そのままお酒の品質に直結します。そんな重要な作業を任せてもらえるのが本当に嬉しくて、どんなお酒ができるのか、今から楽しみです。もちろん母にも飲ませてあげるつもりです。
楯の川酒造は、人間性を重視する会社です。経営理念に「人間的に成長し、人類と社会に発展に貢献します」とあるように、人としての成長をとても大切にしています。「ものづくりを通して、人づくりを行う企業です」というフレーズが、私は大好きです。こうした理念を誰もが共有して日々の行動に反映させているから、自然と人間が磨かれていくのでしょう。私も人に対してずいぶん優しくなれました。入社前に比べて、とても穏やかな人間になったと自覚しています。
「TATENOKAWA」のロゴの入ったTシャツを着てスーパーなどへ買い物に行くと、「いつも飲んでます」と声をかけられることがあります。その一言は本当に嬉しいし、誇らしく感じます。そんなファンを1人でも多く増やしたい。そしてお酒を通じて笑顔になってもらいたい。母が「楯野川」を飲んだときの「おいしい!」の一言を、世界中の人から聞きたいというのが私の想いです。
詰口部詰口課 係長 / 2019年入社
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