昨年9月からスタートした造りも、醪をあと8本ほど残すのみとなりました。
今期1年間で取り組んだ研究テーマのうち、一昨年から継続となっていたものが、「麹の汚染度」になります。
何度かブログでお伝えしている内容でしたが、結果として、10の3乗~4乗までの汚染度に抑えることができました。
これは、お酒のマイナス指摘となるオフフレーバー4VGの軽減につながるもので、10の5乗~6乗オーダーだと出やすいとされております。(麹の汚染度だけではなく、米の品種や使用する酵母にも発生の要因はありますが)
これまで当たり前としていたことを、一から見直し、麹室や麹製造に関わる道具など全てにおいてしっかりと洗浄と殺菌を行うことで、汚染度を低減させることができ、大きな財産となりました。個人的には、このテーマだけでも醸造学会等でも発表できるのではないかなと思っております。
①床(とこ)に敷いている「すのこ洗浄」
②床(とこ)の洗浄
③下布の煮沸
④大布の煮沸
⑤ネル布の煮沸
麹に「直に触れるもの」と直接は触れないが「間接的に影響しそうなもの」を滅菌・洗浄を徹底した結果、3乗台に収まることができた要因ではないかと、社内では分析しております。
この麹の汚染度ですが、4VGの低減につながるのと、酒母における「乳酸」添加をなくすことができる第一歩と考えて、一昨年から取り組んでおります。
2019BYにおいて、途中の醪(仕込み34)まで、乳酸の添加量を半分にして、仕込みをしており問題なく経過しましたので、添加量50%はクリアしたものと考えております。
そこから「添加無し」にどうもっていくのか、ここが悩ましいところです。
楯野川無我のブラウンについては、乳酸を添加せずに仕込みし、うまくいきました。しかし、仕込みの期間が長くなっていくと麹室の殺菌ができなかったりで、酒母がうまく進めない可能性もあり、そのリスクをどう克服していくのかが、ネックとなっております。
乳酸の代わりに白麹のクエン酸を利用したりするのは他社さんでもやっておりますが、乳酸の代わりに乳酸菌を利用して酒母を造る方法や、米を乳酸菌で乳酸発酵させて自社で乳酸を生成することなども視野に入れ、取り組んでいきたいなと考えております。
発酵補助剤として利用は認められている「乳酸」。普通速醸酛であれば当たり前のように利用しているものですが、この乳酸を無くすことができれば、極めて純粋な日本酒を製造することができるんじゃないかなと思います。