こんにちは。
いよいよ9/13から2019BYの造りがスタートいたします。蔵の中では、あわただしく道具の準備等進んでおります。
また、精米についてもスタートいたしました。
台風の影響等でまだ暖かい日が続いておりますが、だんだん朝夕も涼しくなって参りました。
今期は、いろいろと試したいことがあるのですが、その中でも、乳酸の添加量を50%以下に抑えることについて書きたいと思います。
昨年2018BYまでは、通常の速醸もとを採用し、期間も約2週間かけて、酒母をつくって参りました。
日本酒には、いろいろな酒母の造り方がありますが、この速醸もとについては、一番オーソドックスな造り方となり、雑菌の増殖を抑え、できるだけ酵母を純粋に培養するため乳酸を添加するのが一般的となっております。
その、乳酸を当社比で50%以下に抑えて、造ってみようというのが2019BYの特徴です。
きもと等の酒母であれば、乳酸菌を利用することでphを低くし雑菌汚染を防ぐのですが、そもそも雑菌に汚染されないように造れば乳酸の添加も不要なんじゃないかという発想です。
酒母には、麹・蒸し米・水・酵母を使用するのですが、汚染の温床となる部分を徹底的に排除すれば、汚染の可能性はかなり少なくなるんじゃないかなと考えております。
まず、
①道具ですが、これは煮沸などで殺菌をしっかり行えば問題ないと考えます。
②次に、水についても、酒母をたてる前日に準備することで、汚染はかぎりなく
少なくなるのかなと。使用するタンクについても、殺菌を行う行います。
③酵母、こちらについては、自社で純粋培養しますので、コンタミ等もありません。
④そして、蒸し米についてですが、こちらは100℃以上の蒸気で蒸しますので
殺菌もされていると考えれば、残るは麹のみとなります。
(勿論、蒸し終わってからの汚染は排除しなければなりません)
⑤麹の汚染度については、昨年2~3カ月かけ、定点観測を実施しました。
もともと4VG対策として、微生物の菌体数を測定していったものですが、麹箱の布の洗浄方法を変更したことで、大分菌体数も低減したことが確認されております。
ただ、麹室や麹箱をずっと使用していくことで、汚染を完全に防ぐのは難しいのではないかと考えるようになりました。
もろみが2日に1本たっていき、麹室があく期間がないと、麹室の殺菌も定期的にすることが難しいということと、壁や天井が杉材ということで、おそらく完璧な殺菌は困難なのではないかとと、同様に麹箱についても、使い込んでいくことで、麹菌やその他の菌が箱の材質の奥まで入り込んでいくのではないかなと推測しております。
それを改善することを目的に、今期はアルミでできた麹箱を20個ほど導入し、それで麹を作ってみようと考えました。結露などの面が若干不安ではありますが、汚染度を測定すれば結果はすぐに出るものかなと。
そして、来期以降の課題になりますが、麹室についても、壁や天井を掃除のしやすいステンレスの麹室を新設し、その中で麹を作り、汚染度を測定していくつもりです。
イメージ的には、杉の麹室や木製の麹箱がいいのではわかっておりますが、限りなく純粋に近い日本酒を求めるとなると、乳酸の使用をゼロにしていくのが、ゴールでありますので、この方向性で、一度速醸もとの進化系を追及していきたいなと考えております。
いろいろと頭の中では、まとまったのですが、いざやるとなると非常に怖い部分がありますが、できたお酒次第ですかね。通常の速醸よりも汚染の可能性があるようであれば、続けていくことが困難でしょうし、まずは実際にやってみて、きちんと酵母が増殖してアルコール発酵してくれるかが、勝負ですね。