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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

大学時代 その4(楯野川新聞 2012年11月16日号より)

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大学時代、唯一真面目に勉強したなという時期があります。 3年生の後半と4年生の丸1年ですが、研究室に所属したときのことです。 そんなに成績は良くなかったのですが、運良く、日経などにコラムを書いたり、発酵関連の執筆で有名な小泉武夫先生の「発酵生産研究室」に入りました。

小泉先生は、当時は週に1回くらいしか研究室にいらっしゃらない状況で、とてもお忙しそうでしたが、同じ研究室に日本酒の蔵元の息子さんや、焼酎蔵の息子さんが多くいてとても楽しい1年間を過ごしました。毎月、各自の研究発表のあとの懇親会などでは自分の蔵のお酒や焼酎を持参し、大学生の身でありながら、お互いの蔵のお酒の評価をそれぞれしておりました。

研究室所属時代の研究内容ですが、木灰を入れた灰持酒の研究と火落ち菌の研究、麦を使った昔のお酒の研究などを行っておりました。江戸時代やそれ以前に醸造されていたお酒の記録や文献をもとに実際に試験醸造し、何の目的で木灰や麦を入れて醸造したのか、推察するものでした。研究自体は、1年間で終わるもので、あまりこれといった成果は出ませんでしたが、大学1、2年生のときのような生ぬるい生活から一変し、朝9時から夕方5時までの拘束で、だいぶ鍛えられた気がいたします。

六代目蔵元 佐藤淳平