亀の尾の親の品種 惣兵衛早生

今期から新しい品種のお米で、新しいアイテムを2種類醸造する予定です。

一つは、亀の尾。もう言わずと知れた米であるが、数年前から契約農家さんから栽培していただいており、酒販店さんのPB等で使用をしておりましたが、今期自社のオリジナル商品として発売することとなりました。

そして、もう一つの品種が惣兵衛早生(そうべえわせ)という品種。こちらは亀の尾の親にあたる品種で、旧藤島町にある農業試験場の方から種もみを譲り受け、種子の栽培から復活させ、昨年2名の農家さんに栽培していただいたものです。

ここまで来るのに、約3年の歳月がかかりました。

契約農家さんの話では、亀の尾の親ということと、昔の在来品種ということで非常に丈が長くなり、栽培にとても苦労したとのこと。

折角復活させ、農家さんに栽培して頂いた米が、どのようなお酒になるか今からとても楽しみです。

http://tatenokawa.com/ja/sake/products/products.html?category=4

なお、ラベルやネーミングは、すでに決まっており、庄内や山形県が発祥の品種にスポットライトを当てられるようなシリーズにしていきたいと考えております。

今期は、どちらの品種も50%精米で醸造する予定ですが、来期以降、米の特徴など把握し経験も積んだら、高級酒の仕込みにも使用したいなとは思っております。

新しく開発された酒米ばかりに注目がいく時代かもしれませんが、昔の米に思いをはせるのも一つなのではないかなと思っております。

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年の秋ごろから開始しましたブログ、毎週月曜日に更新していくつもりです。

ネタをどうしようかなと頭を悩ませることが多いですが、蔵の中のことや日本酒のことを中心に書いていき、会社のことを少しでも多くの方々へ知っていただくきっかけにしていきたいと思います。

正月は、日本酒を飲む機会が多かったのではないかと思いますが、みなさんいかがでしょうか?

蔵は正月も関係なく、仕込みを毎日行っており、次々と新酒が出来上がってきております。

また、11月後半に入荷してきた山田錦での仕込みをスタートしており、生酒はじめ、高級酒の仕込みも行っております。

今年の原料米について、出羽燦々や美山錦などの県内産の酒米はまずまずといったところでしょうか。

昨年は天候の影響で収量も上がらず、品質もいまいちでしたが、今年は溶けすぎず、硬すぎずといったところで、いい具合に着地しているのかなと思います。

ただ、生蒸しが結構出る年で、吸水に苦労したような気がしますね。こんな生蒸しが多い年ははじめての経験です。

山田錦も生産者によっては、胴割れがひどいのもあり、天候の影響なのかまたは、生産者の乾燥の仕方の問題なのか、微妙なところではあります。

何とかその年その年の米の傾向を早く理解し、対応していくしかないですからね。

より、品質の高いお酒が生産できるよう、取り組んで参ります。

今期の新酒生酒について

今期2019BYの新酒生酒について、昨年までの生酒と大幅にリニューアルし、全て「無我」シリーズに統一して出荷することになりました。

11月から出荷開始となっている「無我ブラウンボトル」のみ、今現在生酒として発売になっております。

また、今後の生酒の発売予定ですが

1月中旬・・・・無我ブラックボトル(出羽燦々使用)

2月中旬・・・・無我クリアボトル(山田錦使用)

となっております。

酵母も全て協会の6号を使用し、落ち着いた雰囲気の生酒で、ガス感が残るような造りをしております。

例年12月までに生酒を2種類リリースしておりましたが、今期は定番のお酒の品切れを解消するために、火入れのお酒を優先的に仕込んでおり、生酒のリリースが遅くなっております。

年末年始に生酒を楽しみにしていただいているお客様にはご迷惑をおかけし申し訳ありません。

今後出てくる無我シリーズ、どうぞご期待ください。

麹箱や麹布の洗浄・殺菌方法

昨シーズンから取り組んでおりました、麹箱と麹布などの洗浄・殺菌方法がやっと確立されました。

日本酒の評価(きき酒評価)でマイナスとして指摘される4VGで、主な原因とされる雑菌汚染。その雑菌汚染の可能性が一番高いのが麹の工程です。

麹の汚染度を定点観測し、いろいろと試行錯誤しておりましたが、やっと汚染度の桁数を低く抑える方法を見つけました。

まず、布の洗浄は有機物が残らないように業務用の洗濯機で洗浄。その後、薬液で洗浄。ここまでの段階で、ある程度の菌数を抑えることができますが、まだ完璧に殺菌とまではいきません。

その後、ボイラーの蒸気で100℃近くまであげたお湯で、殺菌。そうすることで、完璧に殺菌をすることができました。

なお、薬液を除いて、熱湯だけで殺菌すると、若干微生物が残っているようで、完璧とはいえない結果がでました。要するに、薬液と熱の両方で殺菌することが大事ということだと思われます。

また、麹箱についても、今期から木の麹箱を止めることにしました。そして、アルミ製の麹箱に変更いたしました。それは、木の箱が完璧な洗浄が難しいことと、乾燥させるのに時間を要すということです。

アルミの箱であれば、しっかりと洗浄もでき、熱湯で殺菌し、すぐに乾燥させ使用することができました。

この2つの改善だけである程度の微生物の菌体数を減らすことができ、4VGが発生する可能性を低くすることができると考えられます。

蔵の中の仕事で、基本的な洗い物等について、実際に分析をしてデータに基づいて仕事をすることの重要性が分かった気がします。何となく今まではこうしていたからという常識を疑うこと。非常に考えさせられる取り組みでした。

日本酒の輸出拡大

こんにちは。毎週月曜日にブログをアップしていたのですが、月曜・火曜と講習会だったため遅くなりました。

10年ぶりに参加した経営者の勉強会、改めて考えさせられる内容で、MGなども交えて有意義な時間を過ごさせて頂きました。山形銀行さんそして講師の長山先生ありがとうございました。

さて、今回は日本酒の輸出についての話題です。

http://tatenokawa.com/ja/sake/company/world.html

2008年からスタートした日本酒の輸出。

最初は、香港・中国からスタートしたのですが、今現在20数か国にまで拡大し、輸出の割合も全体の15%を越えるまでになりました。

2008年は年間200万円ほどの輸出だったのが、前々期の決算では1億円をこえるまでになってきており、改めて日本食ブームなんだなと実感。

つい最近までは一応輸出はやっているが、収益への貢献度は低く、どちらかというと経費が垂れ流し状態で、いつになったら収穫できるのやらと考えてしまうことの方が多かったのですが、風向きが変わったんでしょうね。

また、酒田と鶴岡の税務署長が輸出のことで話を聞かせてくれということで、今年になってから来社いただきました。こんなこと今まで無かったんですよね。

国税庁のほうでも、輸出だけの蔵元の製造免許を卸すような話も出ており、日本酒の輸出は国策となるような予感。

この輸出だけの蔵元については、恐らく、中央会や組合などでは輸出だけの蔵元には厳しい声が出るんでしょうが・・・、私個人としては、自由競争の方が、いいんじゃないかなと考えております。

日本酒造りたいんであれば、造ったらいいんじゃないかと。まあ、国内では駄目でも海外でSAKEを造る企業や個人は増えていくのは必須でしょうから。

日本酒の業界には、唯一追い風で、明るい光が差し込んでいる輸出。今後も拡大させていきたいと考えております。

乳酸の添加量について

2019BYから一般的な速醸酛に比べて、乳酸の添加量を50%に抑えた造り行っておりましたが、麹の汚染度がなかなか下がらないようで、乳酸の添加量をもとに戻すことといたしました。

4VGの原因となる、麹の汚染度を定点観測していたのですが、造りの当初は10の2~3乗くらいの数字だったのが、徐々に仕込みを継続すると上がっていき、10の5乗くらいが普通となってきておりました。

麹箱をアルミの変えたり、麹布や床布の洗浄方法や殺菌方法をいろいろと試していたのですが、劇的な数字の変化が起こることなく、時間の経過とともに、4VGが出現しやすいと言われる6乗までいきそうなので、この措置をとることといたしました。

これまでのお酒については、4VGなどの香りが出ることなく、普通に推移しておりましたが、今後のことを考えての判断となります。

乳酸の添加量を半分に抑えても、しっかりと健全に発酵が進むことも確認できましたし、今後はより品質アップと、安定した品質をキープすることに注力していきたいと考えております。

ぶどう栽培の続き

先週に続いて、ぶどう栽培のことを書きます。

1年目に植栽した品種は、シャルドネとピノグリが中心。黒森の畑に植栽しました。

黒森あたりは海側ですので、庄内砂丘のどまんなか。完璧な砂地で、あまりにも水はけがよく、潅水の問題があり、植栽直後は水やりをしっかりとしなかったからか、1000本ほど枯らした経緯があります。

初年度ということもあり、コンサルの先生や地元の農家さんから話を聞きながら手探り状態で進めました。

シャルドネの畑は7反くらいあるのですが、樹勢は結構あるものの、今期3年目を迎えましたが、中々収量があがらず苦戦中。

逆に、ピノグリについては、土や気候があうのかどうか、苗木の本数は少ないものの、立派な果実が取得できる傾向にあり、黒森はピノグリを増やしていこうと考えております。

そして、植栽2年目、主に櫛引地区の畑に、シラー・ピノノアール・カベルネフランを植栽しました。

こちらは黒森と違い黒い土で、近隣では果実やぶどう(生食)の栽培が盛んな土地。

ウイルスにやられて、カベルネフランなど800本程度を引き抜く形となりましたが、2年目のシラーやピノノアールなど、収穫することができました。

品質や糖度については、今後課題をクリアしながらよりいいぶどうを収穫するべく、進めて参りますが、天候や気温など外部要因の影響をかなり受けることを、改めて考えさせられました。

ぶどう栽培とワイン醸造

日本酒の話題ばかりでしたので、ちょっと息抜きと言いますか新規の事業の取り組みをご紹介いたします。

2017年の春からワイン用のぶどうの栽培をスタートさせました。

畑は、酒田市の黒森地区と鶴岡市の櫛引地区。

初年度は、黒森地区に3000本の苗木を植栽しました。品種は、シャルドネやピノグリなど。そのうち1000本くらいを枯らしてしまいましたが、何とか何とか植栽までこぎつけました。

農地の取得や資材の打ち込み、そして潅水など思った以上に労力がかかり、また人手もいる事業ということを確認しました。

その後、2018年・2019年と新規で畑を拡大し、今では3ヘクタール弱くらいまで増やしております。

そして、ワインの醸造については、関連会社の奥羽自慢㈱でワインの製造免許を取得し、昨年2018年の秋から醸造をスタートさせました。

HOCCA(ホッカ)というブランドで、今後も展開致します。

https://hocca.jp/

正式なワイナリーの建設は2021年を計画しておりますので、まだ日本酒蔵の一角でこじんまりを醸造をしておりますが、今後ぶどうの生産量アップとともに、ワインの醸造にも注力していく所存です。

山形県内でも、南陽や上山あたりで新規のワイナリーのオープンラッシュがあり、庄内地方でもエルサンさんや日向さんといった方々がワイナリーをオープンする予定で、ちょっとずつ庄内にもワインを生産する人々が増えてきております。

今後の展開に是非ご期待ください。

原料米の取り組みについて HP更新しました

HP上に原料米のこれまでの取組や考え方などのページを追加しました。

http://tatenokawa.com/ja/sake/rice/index.html

契約栽培をスタートさせて今年で14年目となりました。

当初10ヘクタールだった面積も70ヘクタールまで増えている状況で

来年も若干増やす予定でございます。

出羽燦々・美山錦・亀の尾など地元の酒米については、全て特別栽培米(減農薬・減化学肥料での栽培)と有機栽培となりました。

山田錦についても、来年から約半分が特別栽培米にシフトする予定で、慣行栽培との差を確認しながら、全量特別栽培米に転換していく予定でおります。

窒素分を制限していくので、粒の充実度が下がる恐れがあるとの指摘を米の業者さんから指摘されましたが、等級検査と米の品質が連動するかどうかは、また別の問題と考えております。

つまり、等級検査は、見た目の勝負がほとんどで、たんぱく質等の分析も実施しないので中身については、自社で分析して、継続的に使用して感触を見るしかないんですよね。

特別栽培米にすることで、仕入れの単価も上がってきてしまうのですが、農薬や化学肥料を50%以下に抑えて栽培するということは、飲む方にとっての安心安全につながりますので、今後より見直されるのではないかなと考えて、進めております。

今期から、乳酸の使用を半分に抑えた造りを実施するのは、特別栽培米にシフトしていったことと連動しており、より添加物などを減らした日本酒を世の中にだしていきたいなと考えております。

麹の汚染度測定

昨年から麹の汚染度の定点観測を行って参りました。

それは、4VGとなる原因や要因を極力排除するためで、その中でも麹の汚染が一番の原因なのではないかといった推測からです。

昨年までは、麹室の中にスタッフは、手を洗った後に、ゴム手をして入って作業をすることまではしておりましたが、それ以外の要因については、あまり対策を行ってきませんでした。

次に目を付けたのは、麹箱と麹箱の中に敷く布、そして床布でした。こちらについて、昨年は麹箱の布と床布の洗浄方法をいろいろと試し、ある程度汚染度が下がっていくのを確認し、ある一定の成果が出たかなと考えておりました。

今期は、木の麹箱とアルミの麹箱(新規に導入)でそれぞれ麹を造り、汚染度の具合を観測してきたのですが、アルミの方が若干、汚染度が少ないような結果が出ておりました。

しかし、それほど大きな差というのは出ず、使用後に毎回しっかりと洗浄することが汚染度の低下につながるものと思われます。

何だかんだいって、酒造業は麹菌と酵母を使用する業種ですので、微生物管理や衛生管理が大事になってくるという基本に返った感じです。

乳酸の量を減らしたのも、乳酸を無添加で仕込みを実施するのもこれにつながるもので、基本的な作業をもっと大事にしないと改めて考えさせられました。

これまでの作業で本当に大丈夫かどうかは、実際に分析してみて、数字にしないと経験や憶測だけで考えてしまって、あやふやになりますので、今後もしっかりと分析をしていきたいと考えております。